ファイナンシャルプランナーの資格は、お金に関する知識を広く習得できるため、様々なビジネスシーンで学んだ知識を役立てることができます。
ファイナンシャルプランナーだけで活躍している人もたくさんいますが、さらに他の資格と組み合わせる(ダブルライセンス)ことで活躍の場をさらに広げることが可能です。
また、ダブルライセンスにより他のファイナンシャルプランナーとの差別化も図れます。
金融経済全般を学べるので、本場のアメリカではファイナンシャルプランナーの資格(CFP)を持つ経営者は多いそうです。
ファイナンシャルプランナーは、幅広い分野にまたがるため、相性の良い資格が数多くあります。
ファイナンシャルプランナー資格と仕事の概要
ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、お客さんの人生の目標をもとに総合的な人生設計を立て、その人生設計が達成できるよう家計、金融、不動産、住宅ローン、保険、年金、税制といった知識を駆使してサポートします。
・金融資産運用設計
・不動産運用設計
・ライフプランニング
・保険とリスク
・タックスプランニング
・相続事業承継
FPが扱う分野はこのように広範にわたります。
FPとして仕事をしなくても、自分の生活で役立てることができますから、勉強しておいて損はありません。
FP相談では、お客さんのライフスタイルや価値観を踏まえ、家計の状況や家族構成、資産および負債といったデータを集めて現状を分析することから始まります。
現状分析を踏まえて、お客さんの人生設計が達成できるような改善案を考え、長期的なサポートを行います。
FPは、広い範囲の知識を有していますが、特定の分野についてはその分野の専門家の方にはかないません。
そんなときに活きてくるのがダブルライセンスです。ダブルライセンスにより、特定の分野の知識を深め、より最適な質の高い提案へと導くことができます。
反対にFP以外の専門家は、FP資格を取得することで同業者より優位に立てる可能性があります。
別資格を目指す場合も、既にFPの勉強で学んだ知識があるので、重複する分野の資格であれば資格取得の労力が軽減されます。
例えば、確定拠出年金の専門家であるDCプランナーの試験では、確定拠出金やライフプラン、公的年金制度を学びます。
しかし、FPの有資格者であれば、確定拠出年金制度の分野だけ勉強すればよいので、労力も少なくて済みます。
是非ダブルライセンスを活かして業務の幅を広げてほしいと思います。
ファイナンシャルプランナー+宅地建物取引士
大変相性のいいダブルライセンスの例が、FPと宅建士です。
宅地建物取引士(以下宅建士)は、不動産取引を円滑にするための不動産取引の専門家です。
住宅ローンは、FPの得意とする分野の一つです。
不動産の売買取引では、ほとんどの人がローンを利用して購入するので、頭金の貯め方、金利のアドバイス、ローンの見直し方等のアドバイスができます。
不動産の購入では、物件選びと同じくらいローンが大事なのに、ほとんどの人は物件しか気にしておらず、結果としてローンが原因で破産する人がたくさんいます。
不動産の購入を考えている人は、ローンについて相談できる専門家を探しています。
また、不動産投資では収支計画や投資収益率を計算するので、不動産投資でもFPと宅建士のダブルライセンスが活きてきます。
FPとしてローンの相談を受けたときも、不動産探しのポイントを聞かれることは多いので、宅建士の知識を活かせます。
ファイナンシャルプランナー+簿記
簿記を学ぶことで会社の経営状態を見ることができるようになりますから、企業に投資するかを決めるのに役立ちます。
また、FPがお客さんに提供する情報には、家計のバランスシートを明らかにしたものがあり、簿記の知識があれば分かりやすく、深い説明が可能になります。
また、不動産投資では減価償却計算が当たり前にできなければ話になりませんが、簿記では減価償却計算について詳しくなれます。
会計についての専門書を読むよりも、簿記の資格を取った方が実は効率よく減価償却について知ることができます。
簿記を学ばずに本に載っている知識で投資分析をする人もいますが、簿記の構造が分かっていないと本当の意味で分析できたとはいえません。
簿記の知識は、様々なビジネスシーンで使えるので、取って損はありません。
ファイナンシャルプランナー+DCプランナー
DCプランナーというのは、確定拠出年金を中心とした企業年金の専門家をいいます。
確定拠出年金は、老後資金作りの対策として今注目されている年金です。
老後2000万円問題で注目されている「iDeCo(イデコ)」は、確定拠出年金の個人型です。
企業が確定拠出年金を導入した場合は、投資教育、資料の提供、投資相談についての整備を行うよう努める義務があるので、ニーズの拡大が予想されます。
DCプランナーの資格もFP、社会保険労務士、税理士、中小企業診断士といった資格者を想定した試験となっています。
FPなら既に投資の知識があるので、確定拠出年金を主にした年金制度を学ぶだけで資格が取れます。
ファイナンシャルプランナー+証券外務員
FPの中には、証券外務員の資格を持っている人はたくさんいます。
保険外務員ほど多くはありませんが、証券外務員と兼業してるFPは多いです。
証券外務員は、証券業務を行うためには必ず必要になる資格です。
証券外務員には何種類かありますが、誰でも受験できるのは一種証券外務員と二種証券外務員です。
一種の方が難易度が高く、一種でないとデリバディブや信用取引が扱えません。
証券外務員資格の取得自体はそれほど難しくありませんが、二種なら1ヶ月、一種なら2か月程度の勉強が必要です。
また、証券外務員として登録をしなければ、証券業務の営業ができません。
外務員として業務を行う場合は、証券会社に属することになります。
ファイナンシャルプランナーだけしか資格がない場合は、金融商品を扱うことができません。
証券外務員の登録をすることで、ライフプラン相談に加えて、金融商品仲介が行えますから、業務の幅が広がります。
ファイナンシャルプランナー+保険募集人
FPとのダブルライセンスで最も多いのが保険募集人です。
保険募集人は、ちゃんと勉強すればだれでも受かります。というより落ちると恥ずかしいと言われているほどで、落ちるのは20人に1人いるかいないかだそうです。つまり勉強しない人だけが落ちます。
保険募集人には、損害保険と生命保険とがありますが、ライフプランと相性がいいのは生命保険なので、生命保険募集人を持っているFPが多いです。
FPには、保険代理店として登録している人もたくさんいます。
代理店はノルマがあるので、場合によってはノルマのために保険を売らなければいけなくなることもあります。
FP相談で保険を扱えれば、そのまま保険まで紹介できます。
おかげで生命保険が売れにくい現代では、FPを名乗る保険外交員だらけになってしまいました。
独立系FPの相談では、ほとんどの相談が有料なのに、保険相談だけが無料だったりしますが、これは保険を売ったことによる手数料があるからです。手数料に加えて金銭を受け取ると法律違反になります。
FPの無料相談は保険を売るためとの批判は多いです。
しかし、お客さんの中には、FP相談を受けた後、保険も紹介してほしいとお願いしてくる人も多くいます。
FPの中には、保険を売らないことを掲げている人もいますが、お客さんによってはそれを不便と感じる人もいます。
保険の押し売りが嫌われるだけで、「どうせなら保険も担当してよ」というお客さんは意外に多いのです。
ファイナンシャルプランナー+貸金業務取扱主任者
貸金業務取扱主任者は、貸金業者に設置が義務付けられている資格です。
貸金業務取扱主任者は、国家資格の必置資格になります。
合格率は30%程度なので、2級FP技能士と同じくらいです。
FPが住宅ローンの紹介をする場合は、貸金業者の登録が必要です。
FPでも住宅ローンを専門にしている事務所は、貸金業者の代理店登録を行っているので、この資格は必須のものとなっています。
FP相談で最も多いのは住宅ローンに関するものです。
それだけ多くの人が将来の住宅ローンを心配しているからですが、この不安の解消に大きな力となるのがライフプラン相談です。
住宅ローンの媒介をする際に、FPとしてライフプラン相談にのればお客さんから感謝されることでしょう。
貸金業法には総量規制がありますが、そういったアドバイスもできます。
ファイナンシャルプランナー+税理士
FPは、個人の資産設計やライフプランの相談にのる専門家ですが、個人の資産や収支にはほとんど全てに税金がかかります。
FPで学ぶ分野は、6分野ですがどの分野でも税金は出てきます。
税理士になるには、会計科目と税法科目の5科目に合格する必要があります。
会計科目(簿記論・財務諸表論)と、所得税法か法人税法のどちらか一つ、あとの2科目は税法から選択します。
1科目の合格率が10%~20%なので、合格するまで5年以上かかるといわれています。
簿記は会計の慣習ですが、税法は法律といった違いがあるので、税法を学ぶ際に多くの人が戸惑います。
税理士であれば、個人の相続税の具体的な処理まで踏み込めるので、業務の幅が広がります。
また、ターゲットを個人だけでなく法人にまで広げることもできます。
ファイナンシャルプランナー+社会保険労務士
FPのライフプラン相談では、年金が重要になってきます。
何かと話題の年金ですが、その年金の専門家が社会保険労務士(以下社労士)になります。
年金がいくらなのかを明らかにすることで、次に何をすればいいかの道標を示すことができます。
老後には2,000万円以上が必要と噂されており、20代、30代の世代から老後不安が広がっていますが、現状の問題を明らかにすることで解決に向けた行動がとれます。
FP試験だけでは、年金制度を詳しく学びませんが、社労士だったら年金だけでなく社会保障全般のアドバイスができます。
試験は年に1回行われ、合格率は6~7%程度です。
ファイナンシャルプランナー+行政書士
行政書士が扱える書類は数千種類といわれ、高齢率が進む現在の日本では、相続が増加しています。
相続対策に有効なのが、遺言書や遺産分割協議書の作成ですが、行政書士があれば心強いです。
行政書士は、他の士業と比べると相談相手としては依頼しやすく、離婚や契約といったライフイベントにも対応しています。
街では、行政書士が成年後見人や内容証明書の作成といった身近な法律について相談会をしていますし、「カバチタレ」というドラマのおかげで知名度が上がっています。
行政書士試験は、低い年で10%、高い年では15%以上とその年によって合格率に開きがあります。
ポイントとなるのは一般常識です。
試験は、宅建士より難しく、社労士より簡単といったレベルです。
ファイナンシャルプランナー+中小企業診断士
中小企業診断士は、日本では唯一とされる経営コンサルタントの国家資格です。
企業の経営資源といわれる「人・物、金、情報」について横断的な知識が身につきます。
経営では、企業の経営資源をうまく効率的に活用していかなければいけません。
会社の経営に対してアドバイスを行うのが中小企業診断士です。
中小企業診断士とFPのダブルライセンスがあれば、会社の経営だけでなく、事業承継や社長・従業員のライフプラン相談にも対応できます。
中小企業診断士は、1次試験と2次試験があり、1次試験の合格率は20%~25%、2次試験の合格率は20%程となっています。
おわりに
いかがだったでしょうか。
FPが扱う領域は広いので、様々な資格とダブルライセンスの相性が良いのがお分かりいただけたと思います。
FPアドバイスをするにあたっては、投資のトレンドがあり、法律の改正などがあるため、継続した勉強が必要です。
たぶん……。