日本商工会議所では、簿記3級の試験について、「企業で働く者に必須の簿記の基礎知識が身につき、商店や中小企業の経理事務に役立つ。経理関連書類を読むことができ、青色申告などの書類作成もある程度できる。経理・財務担当以外でも必要な知識として評価する企業が多い。」と説明しています。
企業の記帳は簿記を使って行われるので、簿記の知識はビジネスパーソンには必須のものとなっています。
投資などでも簿記の知識は役に立ちます。
不動産投資では、減価償却の知識がないと話になりませんし、株式投資でも企業の経営分析に役立ちます。
簿記の構造は、難しい専門書を読むより、簿記の勉強を通したほうが早く身につきます。
資格の学校や通信教材などでは簿記3級の標準学習時間は3か月程度としています。
簿記は難しいという声もありますが、簿記3級程度であれば市販のテキストも多く販売されてますし、勉強方法を間違えなければ独学でも十分合格は可能です。
ただし、簿記試験の勉強方法を間違えると、3ヶ月経っても合格できない可能性はあります。
簿記の資格は3種類ある(日商簿記、全経簿記、全商簿記)
実は、簿記の試験を実施しているのは一つではありません。
簿記資格には、日商簿記、全経簿記、全商簿記といった3種類があります。
この中でも特に知名度抜群なのが日商簿記です。
世間的には、全経簿記と全商簿記は学生さんが受ける試験といった扱いとなっています。
だからといって日商簿記以外が劣るわけではありません。ただ知名度が低すぎるだけです。
日商簿記試験は1級から3級までありますが、全経簿記試験は上級から2級となっています。
全商簿記は、学生向けの試験なので、一番難しい1級であっても日商簿記2級よりは簡単です。
簿記試験の難易度比較
簿記の種類 | 日商簿記 | 全経簿記 | 全商簿記 |
難しい | 1級 | 上級 | |
普通 | 2級 | 1級 | 1級 |
易しい | 3級 | 2級 | 2級 |
日商簿記3級は、全経簿記2級、全商簿記2級と同程度の試験範囲ですが、この中では日商簿記3級が一番難しいです。
全経簿記2級の方が、日商簿記3級よりも基本的な問題が出題されるので、基礎固めに向いてます。
日商簿記3級試験の概要
簿記の試験は年3回行われ、合格率は30%~50%程度となっています。
試験時間は120分です。
合格点は70点以上の絶対評価となっています。
絶対評価なので、点数を調整せず70点以上取れれば合格となります。
そのため過去の合格率は13%~60%と安定していません。
ちなみに簿記試験では、日商簿記1級のみ相対評価で、2級と3級は絶対評価です。
日商簿記3級試験の配点と勉強のポイント
簿記3級の問題数は全部で5問です。
出題される内容は大体パターンが決まっています。
第1問目は仕訳です。5つの問題が出ます。
勘定科目は、指定された科目の中から選ばなければならないという点に注意です。
第2問目は、商品有高帳、小口現金出納帳といった帳簿に関するものです。
どのような出題がされるかよめないのが2問目です。
第3問目は、合計試算表、合計残高試算表、残高試算表といった試算表に関するものが出題されます。
第4問目は、伝票や決算仕訳、推定問題などが出題されます。
第5問目は、精算表、財務諸表といった決算に関する問題が出題されます。
3問目と5問目は慣れないうちは大変ですが、慣れてしまえば満点も不可能ではありません。
配点については、
第1問目は20点
第2問目は10点
第3問目は30点
第4問目は10点
第5問目は30点
の計100点満点となっています。
見て分かるように1問目と3問目と5問目を合計すると80点です。
1問目と3問目と5問目を中心に勉強して、70点以上を確保するのを目指しましょう。
時間がない人は、2問目と5問目はあまり深入りせず、過去に出題された範囲を繰り返して勉強しておく程度でよいでしょう。
時間がある人は、2問目と5問目で点数の上乗せを狙ってもいいかもしれません。ただし、あくまでも勉強の中心は1問目・3問目・5問目です。
日商簿記3級に合格するための勉強方
簿記の勉強では、実際に問題を解いて電卓をたたくことが非常に大事です。
テキストばかりを見て問題を解かなければ、いつまで経っても合格できません。
おすすめの勉強方法としては、取りあえずテキストを見たら、すぐに問題を解くことです。
特に簿記の勉強は問題を解くことを通して身につけるのが近道です。
最初のうちは、テキストを読んでも分からないことが多いかもしれません。
最初のうちは、下の図を覚えるだけでもいいと思います。下の図が簿記の基本となります。
左側を借方、右側を貸方といいますが、呼び名自体に意味はありません。
借方や貸方といった呼び名に惑わされると、負債が増加したから借方?というようにイメージでミスをしてしまいます。
とはいえ勉強が進んで問題を繰り返していけば、自然と気にならなくなります。
簿記の勉強で重要なのは、問題を繰り返すということです。
問題を解いても最初のうちは全く点にならないかもしれません。
でも、悩んでる時間が無駄なので、そういう場合はすぐに答えを見て、確認しながら問題を解いてもかまいません。
ただ答えを覚えるよりも、解き方を見て納得することが大事です。
そのかわり同じような問題が出たら次は答えられるようにしておきます。
簿記はパターンが限られるので、過去問を中心に問題を繰り返すこの方法は有効です。
過去問題集を解いて分からない時は、テキストに戻るといった方法で覚えれば効率よく勉強ができます。
特に過去問はその試験のレベルそのものです。合格のためには最も時間を割くべきです。
過去問は少なくても3回以上は解いた方がいいでしょう。
1回解いただけではほとんどのことが覚えられませんが、数回同じ問題を繰り返せば解けるようになります。
日商簿記3級合格のためのおすすめ教材
日商簿記3級に合格するためにおすすめの教材です。
テキスト
過去問題集
テキストを見ながら問題集を3回以上繰り返せば、合格するための力はつきます。
とはいえ、なかには独学では勉強が続かないという人もいると思います。
また、少しでも楽をしながら楽しく勉強を進めたいという人もいますので、おすすめの通信講座を紹介します。
フォーサイトは通信講座では有名な会社です。簿記3級と2級をセットにした講座があります。
フォーサイト簿記2級講座の特徴
・フォーサイトの簿記講座なら初心者でも安心にできています
・フルカラーテキストなので読んでて楽しい
・テキストに連動する動画なので分かりやすい
・計算された問題集によって合格に近づける
・スマホでできる「e-ラーニング」がある
・受講生へのフォローがある
日商簿記3級に独学で合格するためのまとめ
彼を知り己を知れば百戦殆うからずです。
簿記試験では、1問目、3問目、5問目が合格を左右します。
簿記の勉強方法は、問題を解かなければなかなか覚えられません。
問題を解いて覚えるようにすると時間が短縮できます。
また、電卓も使いやすいものを使うようにするのがいいでしょう。
使い慣れてない電卓だと、うまくボタンを叩けず余計なミスを誘発してしまいます。