社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格した後、実務経験2年以上の要件を満たしたうえで、さらに登録が必要です。
しかし、現実には社会保険労務士事務所の求人は多くはなく、社会保険労務士になるためにわざわざ仕事を辞めて事務員として働くのも現実的ではありません。
そこで、実務経験がない人に向けて実施されるのが「事務指定講習」です。
この事務指定講習を無事に修了すれば、実務経験2年と同等とみなされ、社会保険労務士としての登録ができるようになります。
社会保険労務士の事務指定講習には通信指導課程と面接指導課程がある
管理人は、社会保険労務士の登録をするために事務指定講習を申し込みました。
事務指定講習にかかる費用は75,600円とかなり高めです。
事務指定講習には「通信指導課程」と「面接指導課程」とがあり、二つとも無事終了して初めて「事務指定講習の修了証」が面接指導の最終日にもらえます。
通信指導課程
通信指導課程では、与えられた課題を3回にわたって提出します。
通信指導課程には期間があって、2月から5月までに課題を書いて提出することになります。
期限内に1回分でも提出しないと75,600円が無駄になってしまうため、5月になると提出してない人に向けたお知らせがあります。
面接指導課程
面接指導課程では、東京A、東京B、愛知、大阪、福岡の会場から受験地を選び、会場では4日間にわたって現役の社会保険労務士の講義を聞きます。
それぞれの開催時期はバラバラとなっていて自分で選ぶのですが、東京Bはお盆休みに開催されるので人気です。
大阪の人でもお盆休みにしか休みが取れないのであれば、東京会場で受講することになるわけです。
一番早く行われる面接指導課程は、7月に行われる「東京A」の面接指導です。
お盆休みに合わせる人が多いと思ってましたが、一番受講する人が多いのは東京A(第37回は7月10日~13日)なんだそうです。
管理人は、自営なので時間の都合がつきやすいですし、何より早く終わらせたかったので東京Aで申し込みました。
事務指定講習の「通信指導課程」では事例にそって書類を記入していく
事務指定講習を申し込むと1月に全国社会保険労務士連合会から「通信指導課程の課題と記入して提出する書類」、「事務指定講習テキスト・様式記載例2冊」、「社会保険労務六法」、「社会保険労務ハンドブック」、「受講票」がダンボール箱で郵送されてきます。
事例では、「Aさんが会社を立ち上げて株式会社Xを作り、アルバイトを2人と正社員1人を採用しましたので必要な手続きを行いなさい」といった実際によくありそうな事例をもとに必要な該当書類に記入していきます。
ネット上には過去の事務指定講習の課題と回答がアップされてたりしますが、課題内容は毎回同じではないみたいです。
記入する書類は、実際に社会保険労務士になったら使用するものと同じなので、間違ってもいいから自分でやってみたほうが、いろいろ学べます。
記入例は、テキストの後半に記載されてます。つまづくとしたら、保険料計算の個所くらいだと思います。
分からなくてもテキストの様式記載例を見れば何をどのように記入すればいいかが書いてあります。
課題は全部で30まであって、30個の課題を3回に分けて提出します。
実際に事務指定講習の「面接指導課程」を受けた時の様子
面接指導課程の会場は、国際展示場駅のTOC有明という建物でした。
受講生は30代~40代が多い印象で、50代以上もそこそこいましたが、20代の人はほとんどいませんでした。
面接指導課程では、実際に社会保険労務士として開業している人が1科目3時間にわたる講義をします。
面接指導課程では、事務指定講習テキスト2冊を持参していき、初日に渡される「面接指導課程レジュメ」をもとに講義が進められます。
実務を行う上でどういったことに気を付けた方がいいのかや、講師の失敗談が聞けますが、通信講義とたった4日間話を聞いただけで実務経験2年とみなすのは無理があり過ぎと思いました。
ホワイトボードを使う社労士もいましたが、後ろの席だったので字が見えませんでした。
面接指導課程は9時30分から16時30分までですが、受付は9時くらいから行っているので早めに会場に行っても大丈夫です。
面接指導での席は決まってなくて自由席です。
授業中は、トイレのために席を立つだけで出入口で名前を控えられます。
面接指導課程の最終日に飲み会を企画している人がいましたが、参加する人はあまりいないようでした。
講師の一人が授業中に開業予定の人いるかを質問していましたが、開業予定の人は1割もいませんでした。
でも、登録後、数年経ってから開業する人は意外と多いそうです。
登録さえしておけば、いつでも開業はできます。
最終日の最後の授業が終わると、受講番号順に名前を呼ばれるので、事務指定講習修了証をもらって終わりです。
通勤時間はどこも人で混みます、お盆休みの方が空いてるかも
面接指導過程で一番きつかったのが朝の通勤ラッシュでした。
管理人は、当時は鎌倉に住んでいたので4日間毎日電車で通ったのですが、満員電車が予想以上にすごかったです。
JR横須賀線はそんなでもなかったのですが、横浜からの京浜東北線とりんかい線の混み具合がきつく、出入り口付近にいないと降りられません。
近くの女の子が降りようとしてるのに、どんどん人がのってきて降りられなくてかわいそうでした。
休憩時間に近くの席の人と話をしましたが、遠方からきている人ばかりでした。
会場の近くにはレストランや食事処がたくさんあるのですが、建物には様々な企業が入ってるのでサラリーマンが多く、昼食時はどこも行列ができていました。
初日は運よくレストランが空いてましたが、2日目以降はどのレストランも行列だったので、コンビニ弁当で済ませてました。
事務指定講習の受講終了後の社労士登録
「事務指定講習の修了証」があれば、その他の必要書類を揃えることで社会保険労務士の登録ができます。
登録する場合は、事務指定講習修了証の他に「社会保険労務士試験の合格証のコピー」「登録申請書」「住民票」「顔写真」「登録費用」が必要です。
顔写真は、社会保険労務士証票に使用されます。
社会保険労務士の登録には、勤務登録と開業登録があります。また、勤務と開業以外のその他登録というものもあります。
会社に勤めながら社会保険労務士として登録するのが勤務登録です。
勤務登録として登録すれば、社会保険労務士の支部会に参加できるようになります。
とはいえ支部会に参加するだけで高い会費を支払うのも馬鹿馬鹿しいと、1年で辞めちゃう人もいます。
最初は勤務で登録しておき、会社員を退職した後に開業に切り替える人もいます。
社会保険労務士として活動する人は、開業登録になります。
管理人も最初は社会保険労務士として開業するつもりはありませんでした。
社会保険労務士の業界は、勤務登録で何年やっても実績にならないので、開業して初めて一人前と認められます。
ちなみに勤務登録にも開業登録にも該当しない人がその他登録での登録になります。
社会保険労務士として登録してみて思ったこと
社会保険労務士として登録して思うのは、登録しなければできない業務って1号業務と2号業務だけなので「登録する必要はなかった」ということです。
コンサル業務は3号業務に該当するのですが、3号業務は別に資格がなくても誰でも行えます。
社会保険労務士の登録が必要な業務は、1号と2号の手続き業務だけです。
1号業務と2号業務の需要は将来的に先細って行くと言われており、IT技術がさらに進めば、社労士の仕事がなくなるといわれています。
現在は、まだ1号業務と2号業務の方が需要はある感じです。
国としては、手続きをITに任せて社会保険料(税金も)の取りこぼしをなくしたいようです。
仕方ないので社会保険の知識を活かしてネットなどに執筆しています。