社会保険労務士(以下社労士)は、試験に合格した後、「2年以上の実務経験」か「事務指定講習修了証」があれば、社労士の登録ができます。
-
-
社会保険労務士の登録には3種類ある
社会保険労務士(以下社労士)は、資格試験に合格しただけではなれません。 社労士になるには、社労士試験合格した後に、社労士名簿への登録と都道府県社労士会への入会が必要です。 社労士の登録は …
社労士に関係なく、士業として開業する際に悩むのが「事務所」の問題だと思います。
士業によっては、事務所要件が決められているケースもあるようですが、管理人が実際に登録している社労士で話を進めさせてもらいます。
周りの社労士を見る限り、社労士で最初から事務所を借りて独立するというのは極めて稀のようです。
事務所がないとなるとネット集客に力を入れてるのかと思うかもしれませんが、ほかの業種と比べても社労士のホームページ開設率は低く、ホームページがない社労士の方が多かったりします。
他の士業からの紹介で仕事を依頼されることが多い社労士であれば、事務所もホームページも必要ないと感じるのかもしれませんね。
士業には行政協力というものがあり、行政協力だけを行っている人もいます。
行政協力をやっているだけであれば、事務所をわざわざ借りる必要はありません。
「事務所を借りる」のと「自宅を事務所」とした場合には、それぞれのメリットがあります。
士業が事務所を借りるメリット
家賃を支払って貸事務所や貸店舗を借りる場合のメリットには、どんなものがあるでしょうか。
まず最初に、事務所と店舗は違います。
事務所と店舗の違いは、不特定多数の出入りがあるかどうかをイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。
事務所といった場合は事務作業がメインの部屋で、店舗といった場合はお客さんの出入りが頻繁にある飲食店や小売業のような部屋です。
不動産会社の募集では、事務所と店舗は明確に分けられています。
部屋を探す場合は、事務所にするか店舗にするかを意識して探した方が希望の物件が見つかりやすくなります。
弁護士を除く士業の仕事は、手続き屋といわれるように事務作業がメインとなるので、家賃の高い店舗を借りる必要性は低いのかもしれませんが、やはり店舗の方が目立つので宣伝効果が期待できます。
ネットで集客できていれば、事務所でも問題ないとは思います。
事務所を借りるメリット
事務所を借りるメリットとしては、以下のようなことが考えられます。
・事務所があると顧客からの信頼を得やすい。
・自宅事務所の同業者に対して優位に立てる。
・仕事とプライベートを分けられるので、業務に集中できる。
・自宅開業だとネット上に自宅住所が公開されてしまうが、事務所を借りればプライバシーが護られる。
・事務所を顧客との相談場所に使える。自宅事務所だとこちらから訪問することになる。
自宅を事務所にする士業のメリット
事務所を借りるデメリットは、裏を返せば自宅事務所のメリットといえます。
売上のない当初から事務所を借りた場合は、毎月の家賃が負担となります。
特に売上がないうちは、毎月の家賃が精神的にも大きな負担となります。
ただし、自宅事務所が長く続くと、自宅事務所が当たり前になってしまい、事業拡大のタイミングを逃すこともよくあります。
自宅事務所のメリット
・家賃がかからないため費用の節約になる。
・いつでもやりたいときに仕事ができる。
・自宅が事務所なので事務所に移動する手間・時間を節約できる。
・育児や介護をしていても合間に仕事をすることが可能。
士業には事務所要件があることもある、社労士の事務所要件は?
難易度の高い税理士でも自宅を事務所としているケースは多いです。
弁護士や司法書士にも自宅を事務所にしている先生がいます。
業種によっては、「事務所の要件」がある場合があります。
同じ士業の行政書士だと、なかなかうるさい事務所要件があるようで、支部によっては事務所のチェックまで行うこともあるようです。
その点、社労士には事務所要件というものがありません。
ただし、自宅が賃貸の場合は、原則として事務所として利用することはできません。
火災保険や保証契約、税金などは居住用と事務所用とでは違うので、あとあと面倒なことになることがあります。
賃貸居住用の物件を内緒で事務所として使用した場合は、契約違反となり賃貸契約を解除されるかもしれません。
ただの居住用アパートの中には、事務所使用可の物件もありますが、そういう物件は人気がなかったり、空室対策のためだったりします。
最初のうちはお客さんがいないのが普通なので、広い事務所を借りる必要はありません。
たとえ事務所を借りる場合でも、毎月の固定費を抑えるよう意識する(最低限の広さ、共同トイレ等)と失敗しても被害は限定的で済みます。
事務所を借りる場合は、家賃以外に初期費用がかかることにも注意が必要です。
初期費用には、敷金(権利金)、礼金、火災保険、仲介手数料、保証料といったものがあります。
礼金がゼロで敷金だけだったとしても、その他にもかかる費用があるので、思ったよりかかると感じる人は多いようです。
例 敷金3か月・礼金0か月の事務所
火災保険数1万円~、仲介手数料1か月分、保証料1か月分、その他数万円
敷金3か月分でも家賃の半年分は初期費用がかかると見ておいた方がいいでしょう。
士業の自宅開業率は意外と高い?
他の業種と違って事務所要件がない士業は、最初からわざわざリスクを取る必要はありません。
たとえば自宅事務所が認められている社労士ですが、開業している社労士の自宅事務所率は9割にもなるそうです。
自宅で開業すると、それに慣れて会社を大きくさせることは難しいというデータもありますが、管理人は最初のうちは自宅開業でいいと思います。
顧客との接客場所は、共同事務所やバーチャルオフィスにすればかなり費用を抑えることが可能です。
共同事務所やバーチャルオフィスなら一等地に接客場所を設けることもできます。
リスクを抑えて開業する
管理人のおすすめは自宅事務所です。
士業の多くは、最初から仕事がバンバンくるわけではないので、ある程度収入が見込めるようになってから事務所を借りても遅くないです。
最初のうちは、自宅事務所で固定費を抑えつつ、浮いたお金を広告費に回した方が仕事につながる可能性は高いと思います。
以前は、事務所の場所が重要でしたが、現在はインターネットの普及により、どこにいても仕事を受けられます。
自宅開業が可能な士業なら、自宅で開業してネットで業務を拡大し、折を見て事務所を借りるのがいいでしょう。
それか、自営業者向けの共有スペースを利用すれば、1か月1~3万円というものもあるので、こういった事務所を利用するのもおすすめです。