社会保険労務士(以下社労士)は、企業で重要とされる「人・物・金」のうちの人に係る国家資格の一つです。
社労士が扱う仕事にどんなものがあるか例を挙げると、「新しい人を雇用したときの雇用手続き」、「事故があったときの労災手続き」、「会社のルールを定めた就業規則の作成」、「働く人の健康保険や厚生年金の手続き」、「助成金の手続き」などで、やはりいずれも人に関するものです。
会社にとって必要な「人」に関して相談を受けたり助言するのが社会保険労務士です。
社会保険労務士(以下社労士)の試験概要
社労士になるには、1年に1回だけ行われる社労士の試験に合格しなければなりません。
受験科目は、労働基準法や雇用保険といった労働に関するもの5科目と、国民年金や健康保険といった社会保険に関するもの5科目があります。
申し込むには4月中旬から5月末までに配布される願書を簡易書留で郵送して申し込みます。
試験は8月の第4日曜日に行われ、合格発表は11月の10日前後頃(合格発表は回によって違います。願書に記載してあります)です。
社会保険労務士試験には受験資格があります
社労士試験には受験資格があります。
最も多い受験資格は、「大学で64単位以上取る」というものです。
大学を卒業している人なら受験資格があります。
他にも行政書士や社労士事務所で3年以上働くといったことで、受験資格を満たす人もいます。
税理士、弁理士、中小企業診断士といった厚生労働大臣が認めた資格でも受験資格を得ることができ、受験資格となる例は数多くあります。
1.学歴によるもの
⑴大学、短大若しくは高専卒業者
⑵大学において学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の修了者等
⑶旧制高校、大学予科又は旧制専門学校卒業、修了者
⑷前記以外で厚生労働大臣が認めた学校等の卒業、修了者
⑸一定の修業年限、授業時間数の専修学校専門課程修了者
2.実務経験によるもの
⑴法令に基づく設立法人の役員又は従業者として3年以上実務に従事した者
⑵国又は地方自治体の公務員や、独立行政法人等の職員として3年以上実務に従事した者
⑶社会保険労務士又は弁護士の業務の補助の事務に3年以上実務に従事した者
⑷法人や労働組合の役員として3年以上実務に従事した者
⑸労働組合の職員又は法人等の従業者として3年以上実務に従事した者
3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格によるもの
⑴社会保険労務士試験以外の国家試験のうち厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者
⑵司法試験予備試験、旧司法試験の第一次試験等に合格した者
⑶行政書士となる資格を有する者
社会保険労務士試験の受験料
社労士の受験には受験料が9,000円かかります。
2021年から、受験料を15,000円に値上げする可能性があります。
その他にも願書に貼る写真代、郵便代がかかります。
受験生が少ないと試験を受けるための交通費や宿泊施設代が負担になったりしますが、社労士試験は受験性が多いので試験会場は各地で実施されます。
社労士の試験日時
社労士の試験は例年8月の第4日曜日です。
社労士の試験には「択一式」と「選択式」があるのですが、平成28年度の試験から選択式と択一式の開始時間が変更されました。
現在は、10時に着席し、10:30から11:50まで選択式試験が行われます。
その後、昼食休憩を1時間はさみ、11:50分に着席して13:20から16:50まで択一式試験が行われます。
トイレはどこも並んでてなかなか順番が回ってきませんので、おなかを壊さないようにするなどの体調管理も必要です。
管理人は水分の採り過ぎに注意しました。
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社労士の試験科目
社労士の試験は、労働保険・社会保険に関する法律なので、社会の変化に合わせて法律が毎年改正されます。
社労士試験では4月までに施行されている法律から出題されます。
5月以降に法律が変わったとしても、その部分については出題されません。
社労士の試験科目については、以下の通りとなっています。
選択式 | 択一式 | |
労働基準法及び安全衛生法 | 1問 | 10問 |
労働者災害補償保険法(労働保険徴収法含む) | 1問 | 10問 |
雇用保険法(労働保険徴収法含む) | 1問 | 10問 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問 | 10問 |
社会保険に関する一般常識 | 1問 | |
健康保険法 | 1問 | 10問 |
厚生年金保険法 | 1問 | 10問 |
国民年金法 | 1問 | 10問 |
合計 | 8問 | 70問 |
択一式では、「労働者災害補償保険法」と「雇用保険」の10問のうち、それぞれ3問が「労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下労働保険徴収法)」から出題されます。
選択式では、労働保険徴収法からの出題はありません。
選択式は、1問につき5つの穴埋めがあり、20の選択肢からそれぞれ選んで解答します。
択一式は、1問につき5つの選択肢から1つを選択します。
選択式も択一式もマークシート方式です。
社労士試験の試験方式まとめ
択一式試験と選択式試験が一日で行われます。
択一式試験では、労働課目と社会課目の計70問を210分で行います。
選択式試験では、労働課目から4科目、社会課目から4科目で構成され、5つの穴埋め形式の計80分で行われます。
2016年からは、午前中に選択式試験を行い、午後から択一式試験が行われるようになりました(2015年までは午前に択一式試験、午後から選択式試験)。
社労士試験特有の足切りというシステム
社労士試験には、足切りというシステムがあります。
足切りというのは、択一式であれば全ての科目が4点以上であること、選択式であれば全ての科目が3点以上ないと足切りにあい、他の点数が良くても不合格になります。
基準に到達していない場合は、救済措置が行われる場合を除いて総合得点が合格点に達していても不合格になります。
受験生の多くがこの足切りで不合格となります。
たとえ他の科目が満点だったとしてもです。
択一なら4点(10点満点)、選択なら3点(5点満点)に1科目でも達していなければ不合格になるのが社労士試験の難しさです。
ただし、あまりに受験生の平均点が低い科目があると救済といった措置が取られることがあります。
過去にあった例では、選択式のうち平均点が低い科目については2点でも合格としたことがあります。
過去の社労士試験の合格率
令和2年 6.4%
平成31年 6.6%
平成30年 6.3%
平成29年 6.8%
平成28年 4.4%
平成27年 2.6%
平成26年 9.3%
平成25年 5.4%
過去の合格率を見てみるとだいたい7%~9%の範囲でおさまるといわれてた社労士試験ですが、ここ3年の合格率を見ると難化傾向にあるのが分かります。
社会保険労務士の勉強で最も重要なのは、継続することと復習することです。
合格のためには、資格講座を利用してペースをつかむことも必要です。
必要な勉強量と対策については、資格講座の方で用意してくれるので、あとはとにかく合格まで続けることです。
社労士試験の勉強負担を減らすためには資格講座を利用することです
独学の場合は、資格の学校を利用した場合の3倍時間がかかるそうです。
社労士の勉強は、独学だと合格水準に達するまでが大変です。
社労士試験の短期合格のためには、受講生の合格率が高い講座利用がおすすめです。
独学で社労士試験の勉強をしている人は、最低でも模試試験は利用したほうがいいと思います。
管理人も模擬試験だけは毎年受けてました。