FP試験で必ず出題されるのが、6つの係数を使った計算問題です。
ファイナンシャルプランナーの実務では、ソフトを使うことが多いですが、試験に合格するためには使いこなせるようにしておく必要があります。
どの係数も初めて聞くものと思いますが、慣れてしまえば得点源になります。
実際のFP相談ではパソコンやソフトを使いますが、係数を普段から使えると思いがけない気付きに発展することもあります。
6つの係数とキャッシュフロー
キャッシュフローというのは、お金の流れのことをいい、一定期間の家計の収入と支出、貯蓄の流れを表します。
このキャッシュフローを時系列に表にしたものが、キャッシュフロー表と呼ばれるものです。
キャッシュフロー表は、現在の収支の状況や将来的に起こるライフイベントをもとに将来の収支の状況や貯蓄残高を表したものです。
実務では、これらの数値はFPソフトやパソコンを使って出しますが、試験ではそんなものはありません。
試験では、収支や資産残高を6つの係数を使用して求めます。
例えば、FP試験では、「毎年30万円を年利3%で運用しながら積立てると10年後にいくらになるか」といった問題が出題されます。
これを1年ずつ計算するのは大変ですが、係数を使うことで計算が楽になります。
たとえば年金終価係数表を見れば、年利3%で運用すると10年後は「11.464」となることが分かるので、30万円にこの11.464をかければ答えが出ます。
30万円×11.464=343.92万円
つまり毎年30万円を年利3%で運用しながら積み立てていくと、10年で343.92万円になるということです。
このように6つの係数を使えば複雑な計算も簡単にできます。
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終価係数とは
終価係数は、元本を一定期間、一定の利率で運用すると、期間経過後にいくらになってるかを計算できます。
n年経過後の金額を求める場合は、(1+変動率)のn乗したものを元本に乗じることでも求められます。
終価係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 1.010 | 1.020 | 1.030 | 1.040 | 1.050 | 1.060 |
3年 | 1.030 | 1.061 | 1.093 | 1.125 | 1.158 | 1.191 |
5年 | 1.051 | 1.104 | 1.159 | 1.217 | 1.276 | 1.338 |
7年 | 1.072 | 1.149 | 1.230 | 1.316 | 1.407 | 1.504 |
10年 | 1.105 | 1.219 | 1.344 | 1.480 | 1.629 | 1.791 |
15年 | 1.161 | 1.346 | 1.558 | 1.801 | 2.079 | 2.397 |
20年 | 1.220 | 1.486 | 1.806 | 2.191 | 2.653 | 3.207 |
経過年数と年利の交差している数値を元本に掛けることで経過年数後の金額が求められます。ほかの表も要領は同じです。
例
1000万円を5%で15年運用した場合の計算を求める場合は「2.079」です。
1000万円×2.079=2079万円
1000万円を5%で15年運用すると、15年で2079万円になるということです。
現価係数とは
現価係数は、将来、特定の金額を得るためには、現在いくらの金額があればいいのかを求められます。
現価係数表を用いれば、インフレが〇%の場合の数年後の資産の目減りも計算できます。
現価係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 0.9901 | 0.9804 | 0.9709 | 0.9615 | 0.9524 | 0.9434 |
3年 | 0.9706 | 0.9423 | 0.9151 | 0.889 | 0.8638 | 0.8396 |
5年 | 0.9515 | 0.9057 | 0.8626 | 0.8219 | 0.7835 | 0.7473 |
7年 | 0.9327 | 0.8706 | 0.8131 | 0.7599 | 0.7107 | 0.6651 |
10年 | 0.9053 | 0.8203 | 0.7441 | 0.6756 | 0.6139 | 0.5584 |
15年 | 0.8613 | 0.7430 | 0.6419 | 0.5553 | 0.4810 | 0.4173 |
20年 | 0.8195 | 0.6730 | 0.5537 | 0.4564 | 0.3769 | 0.3118 |
例
15年後に1000万円が必要な場合に、5%で運用したと仮定した場合、現在いくらあればよいか。
1000万円×0.4810=481万円
現在、481万円が必要ということです。
裏を返せば、481万円を5%で運用すれば、15年後に1000万円になります。
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年金終価係数とは
年金終価係数は、複利運用しながら毎年一定の積立をした場合に、元本と利息の合計がいくらになっているかを求めるときに使います。
積立投資や老後資金作りなどの計算で使用します。
年金終価係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
3年 | 3.030 | 3.060 | 3.091 | 3.122 | 3.153 | 3.184 |
5年 | 5.101 | 5.204 | 5.309 | 5.416 | 5.526 | 5.637 |
7年 | 7.214 | 7.434 | 7.662 | 7.898 | 8.142 | 8.394 |
10年 | 10.462 | 10.950 | 11.464 | 12.006 | 12.578 | 13.181 |
15年 | 16.097 | 17.293 | 18.599 | 20.024 | 21.579 | 23.276 |
20年 | 22.019 | 24.297 | 26.870 | 29.778 | 33.066 | 36.786 |
例
毎年50万円を4%で積み立てた場合に20年後にいくらになっているか。
50万円×29.778=1488.9万円
ちなみに元本部分は1000万円、利息は488.9万円です。
年金現価係数とは
年金現価係数は、毎年一定額を受け取るためには、最初の時にいくらあればよいのかを計算するときに使います。
受け取る期間も運用しつつ、取り崩していくことになります。
年金現価係数
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 0.990 | 0.980 | 0.971 | 0.962 | 0.952 | 0.943 |
3年 | 2.941 | 2.884 | 2.829 | 2.775 | 2.723 | 2.673 |
5年 | 4.853 | 4.713 | 4.580 | 4.452 | 4.329 | 4.212 |
7年 | 6.728 | 6.472 | 6.230 | 6.002 | 5.786 | 5.582 |
10年 | 9.471 | 8.983 | 8.530 | 8.111 | 7.722 | 7.360 |
15年 | 13.865 | 12.849 | 11.938 | 11.118 | 10.380 | 9.712 |
20年 | 18.046 | 16.351 | 14.877 | 13.590 | 12.462 | 11.470 |
例
毎年4%の運用をしながら、毎年100万円を10年間受け取るためには、いくらのお金があればよいのか
100万円×8.111=811万1千円
最初に811万千円あればよいことになります。
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減債基金係数とは
減債基金係数は、数年後にいくら必要か分かっている場合に、毎年いくらを積み立てていけばその金額になるかを求めます。
将来に一定の金額を得るためには、毎年いくら積み立てればよいのかを計算するので、老後資金がいくら必要か分かっている時に使る係数です
。
減債基金係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 1.000 | 1.000 | 1.000 | 1.000 | 1.000 | 1.000 |
3年 | 0.33002 | 0.32675 | 0.32353 | 0.32035 | 0.31721 | 0.31411 |
5年 | 0.19604 | 0.19216 | 0.18835 | 0.18463 | 0.18097 | 0.17740 |
7年 | 0.13863 | 0.13451 | 0.13051 | 0.12661 | 0.12282 | 0.11914 |
10年 | 0.09558 | 0.09133 | 0.08723 | 0.08329 | 0.07950 | 0.07587 |
15年 | 0.06212 | 0.05783 | 0.05377 | 0.04994 | 0.04634 | 0.04296 |
20年 | 0.04542 | 0.04116 | 0.03722 | 0.03358 | 0.03024 | 0.02718 |
例
20年後に3000万円を用意したい人が、5%で運用しながら積立てるとすれば、毎年いくら必要か。
3000万円×0.03024=90万7200円
つまり、毎年90万7200円積み立てながら5%で運用すれば、20年後には3000万円が用意できることになります。
資本回収係数とは
資本回収係数は、現在ある資金を運用しながら年金として受け取るとすれば、毎年いくら受け取れるかを計算できます。
用意した老後資金を毎年いくら受け取れるかといった問題が出題されます。
資本回収係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | 6% | |
1年 | 1.0100 | 1.0200 | 1.0300 | 1.0400 | 1.0500 | 1.0600 |
3年 | 0.34002 | 0.34675 | 0.35353 | 0.36035 | 0.36721 | 0.37411 |
5年 | 0.20604 | 0.21216 | 0.21835 | 0.22463 | 0.23097 | 0.23740 |
7年 | 0.14863 | 0.15451 | 0.16051 | 0.16661 | 0.17282 | 0.17914 |
10年 | 0.10558 | 0.11133 | 0.11723 | 0.12329 | 0.12950 | 0.13587 |
15年 | 0.07212 | 0.07783 | 0.08377 | 0.08994 | 0.09634 | 0.10296 |
20年 | 0.05542 | 0.06116 | 0.06722 | 0.07358 | 0.08024 | 0.08718 |
例
3000万円を4%で運用しながら15年に渡って受け取りたいが、その場合に毎年いくら受け取れるか。
3000万円×0.08994=269万8200円
毎年269万8200円を受け取れることになります。
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まとめ
FP試験で出題される係数は、終価係数、現価係数、年金終価係数、年金現価係数、減債基金係数、資本回収係数とそれぞれ呼ばれ、全部で6つあります。
終価係数は、一定の年利で複利運用した場合について、一定期間経過後にいくらになっているのかを計算できます。
終価係数は、年利X%だとY年後はどうなっているかといった場合に使います。
現価係数は、一定の金額を将来に得るには、現在いくらの元本が必要かといった場合に使います。
〇%で運用しながら将来〇円にするためには、現在いくらのお金が必要なのかといった場合です。
年金終価係数は、毎年一定金額を積み立てると、一定期間経過後の元本と利息の合計がいくらになっているかを計算できます。
3%で運用しながら毎年30万円積み立てていくと、将来的にいくらになるのかといった場合です。
年金現価係数は、一定期間、一定金額を受け取るためには、今現在いくらの金額が必要なのかを計算できます。
60歳から65歳までの5年間に毎年50万円ずつ受け取りたい場合、今現在、いくらのお金が必要なのかが分かります。
減債基金係数は、将来に一定の金額を受け取るためには、毎年いくら積み立てていけばよいのかを求められます。
将来3000万円を用意するためには、毎年いくらずつ積み立てていけばよいのかを計算する場合などに使います。
資本回収係数は、毎年決まった額を一定の期間、取り崩していくとした場合に、毎年いくら受け取れるのかを計算する場合に使います。
たとえば、2000万円を10年間で取り崩していきながら3%で運用すると、毎年どれだけの金額を受け取ることができるかが分かります。
6つの係数は、どういった時に使うかをそれぞれ理解したうえで、問題を何度も説いて覚えるのがよいでしょう。
最初は覚えられなくても、何度も繰り返せば使いこなせるようになります。
なかなかファイナンシャルプランナーの勉強がはかどらない人は、資格の講座を受講するのがよいかもしれません。
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