人気の国家資格で有名な不動産資格に「宅地建物取引士(以前は宅地建物取引主任者)」という資格があります。
宅地建物取引士の資格は、不動産会社になくてはならない資格ですが、試験に合格しただけでは名乗ることができず、登録が必要です。
また、宅地建物取引士として登録しているだけでは、不動産の取引を行うことはできません。
不動産の取引を行うためには、会社に「宅地建物取引業者」の免許が必要だからです。
宅地建物取引士は個人が対象の資格
「宅地建物取引士」の資格はかなり有名ですので、みなさんも一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
宅地建物取引士は、以前は「宅地建物取引主任者」という名称でしたが、不動産は高額なものであること、専門性があること、といった理由で士業として生まれ変わりました。
宅地建物取引士は、略して「宅建(たっけん)」と呼ばれることもあります。
人によっては、宅建の方が馴染み深いかもしれません。
宅地建物取引士は知名度が高く、そこそこの難易度であることから、資格の世界では入門資格といった評価を受けています。
生活に役立つ知識も得られることから、自己啓発にもおすすめの資格です。
宅地建物取引士になるには、まずは宅地建物取引士の試験に合格しなければなりません。
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宅地建物取引士(宅地建物取引主任者)試験の受験の思いで
管理人が初めて取得した国家資格が「宅地建物取引士(宅建士)」でした。 当時はまだ高校を卒業したばかりだったので、見慣れない法律にかなり苦戦しました。 宅地建物取引士の受験をしたのは2004年なのですが ...
宅地建物取引士の試験は、年に1回行われ、合格率は15%~18%の範囲で推移しています。
この宅地建物取引士の試験に合格した後に、「実務経験2年」か「登録実務講習」を経れば宅地建物取引士として登録できます。
不動産会社には、事務所ごとに5人に1人以上が宅地建物取引士でなけらばならないという設置条件がありますので、資格に対する需要はそこそこあります。
また、不動産の取引では、契約の前に重要事項説明を行うのですが、この重要事項説明を行うことができるのは、宅地建物取引士の登録を受けた人のみとなっています
ただし、たとえ宅地建物取引士として登録して「宅地建物取引士証」の交付を受けたとしても、不動産会社に所属(個人も可)していなければ不動産の取引を行うことは出来ません。
宅地建物取引業免許は法人、個人事業主が対象の免許
会社や個人が不動産の取引を行うのであれば、「宅地建物取引業」の免許が必要になります。
宅地建物取引業の免許は、都道府県知事か国土交通大臣の免許となります。
2つ以上の都道府県に店舗を出していれば国土交通大臣の免許になり、1つの店舗か2つ以上店舗があっても同じ都道府県内なら都道府県知事免許となります。
宅地建物取引業の免許の対象者は、9割以上が法人ですが、個人でも要件を満たせば、宅建業の免許の対象になります。
個人事業主として免許を取り、バリバリ活躍している人もいますが、売上が一定以上なら法人にした方がいいケースもあります。
宅地建物取引業の免許を得るためには、本店で1,000万円、1支店ごとに500万円の供託金が必要です。
供託金を用意できない場合は、不動産協会や宅建協会に加盟することでも供託金をおさめたとみなしてもらえます。
また、事務所要件を充たすことも必要で、お客さんを相手にするための事務所や固定電話を用意(写真を撮って提出)しないといけません。
なので、宅地建物取引士は、試験に合格すればなれますが、宅地建物取引業になるには、宅地建物取引士が1人以上と事務所と数百万円のお金が必要です。
免許取得のハードルは宅地建物取引士になるよりも高いです。
社長が一人でも資格と免許があれば不動産の取引ができます
不動産会社を営むためには、宅地建物取引業者免許を取得するための要件が宅地建物取引士の資格を取るよりもハードルが高いといいました。
しかし、宅地建物取引業の免許は要件を満たせば得ることができます。
社長が一人の「一人会社」であっても免許があれば不動産の取引は出来ます。
小さい不動産会社だと、宅建士の資格を持った社長が一人で営業している会社が沢山あります。
社長が宅地建物取引士の資格を取って、会社を設立するか個人事業主として「宅地建物取引業」の免許を申請します。
裁判所に1,000万円を供託するか、不動産の協会団体に加盟して、必要な書類を用意して都道府県の宅建指導課に提出します。
問題がなければ約2か月後に「宅地建物取引業者」として免許が与えられます。
よく不動産会社に「宅地建物取引業者票」が掲げられてますが、あれは業者に注文したりして自分で用意します。
不動産の免許があると市場の物件の9割の物件が扱えます
何百万円もかけて不動産会社として営業しても売上がなければ意味がありません。
皆さんのなかには、不動産会社に行って物件を紹介してもらったとき、どこの不動産会社でも似たような物件を紹介された経験がある人もいるのではないでしょうか?
何百万円もかけて不動産業を開業する人が多いのは、扱う商品が高額という理由だけではありません。
不動産会社として不動産協会の団体に所属すると、不動産業者のみ検索できるサイトを扱えるようになります。
このサイトから、どこの不動産会社でも物件を検索して紹介しているので、大手も中小も個人の不動産会社でも同じ物件が紹介されるというわけです。
管理人の個人的な感覚では、賃貸で8割~9割、売買で95%以上はどこの不動産会社でも紹介可能です。
「アットホーム」「ヤフー不動産」「ホームズ」といった不動産情報サイトに行くと、たくさんの不動産物件が出てきますが、不動産サイトに掲載されている物件のほとんどは、どこの不動産会社でも紹介可能です。
不動産の協会に所属してれば、東京にある不動産会社でも群馬や茨城の不動産を紹介することは可能ですが、それはこの不動産業者間のサイトを使うからです。
不動産業界は開業が難しいと思っている人がいますが、それほどではありません。
実際はむしろ開業しやすい業界と言われています。
未経験から開業する人もときどきいますが、特殊な業界なので多くは数年で廃業している気がします。
紹介できる物件はどこも同じなので、あとは営業マンや不動産会社のサービスや付加価値による違いしかありません。
宅地建物取引士と宅地建物取引業のそれぞれにかかる費用
では、「宅地建物取引士」資格と「宅地建物取引業」免許では実際に取得するのにいくらかかるでしょう。
宅地建物取引士の試験についての概要と体験記
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「宅地建物取引士」の登録を受けるには、登録料が37,000円かかります。
また、「宅地建物取引士証」の交付を受けるのに手数料4,500円と顔写真代がかかります。
試験合格から1年を経過している場合は、法定講習料と交付が合わせて16,500円かかります。
登録だけなら6万円以下の費用で可能です。
宅地建物取引士には、5年毎に更新が必要ですが、更新費用は15,500円となっております。
他の士業と比べたら思ったより安いような気もしますが、会社に免許がないと取引が出来ません。
次は、「宅地建物取引業」の免許費用はいくらかについてです。
宅地建物取引業を営むには、本店で1,000万円、支店ごとに500万円の供託金が必要です。
ただし、多くの場合は不動産の協会に加盟します。
不動産の協会に加盟すると供託金が本店で60万円、支店ごとに30万円で済みます。
そのかわりに加盟料金が別途かかりますので、加盟するだけで170万円~260万円程度のお金がかかります。
また、宅地建物取引業として営業していくには、事務所やポータルサイトなどの広告費がかかります。
なので、不動産協会に加盟するにしても、700万円から1,000万円くらいは用意したほうがいいと思います。
宅地建物取引士と宅地建物取引業による違いについてのまとめ
- 「宅地建物取引士」は個人に対する資格で、「宅地建物取引業」は法人や個人といった団体に対する免許である。
- 宅地建物取引業を行うには、宅地建物取引士の資格を持った人が最低でも5人に1人以上いなければならない。
- 宅地建物取引士の資格を持って、宅地建物取引業の免許も取れば、1人でも業務を行うことができる。
- 1人でも不動産の協会団体に加盟すれば、大手と同じ量の物件を扱うことが可能。
- 宅地建物取引士の資格だけでは不動産の取引ができない。免許が会社にあれば取引できる。
- 宅地建物取引士の登録にかかる費用は6万円以下、宅地建物取引業の免許取得にかかる費用は170万円~