簿記検定試験やファイナンシャルプランナー試験(FP技能士試験)では、電卓を持ち込んで問題を解いていきます。
簿記検定試験とFP技能士試験のどちらも1級レベルになると電卓ミスが致命的となります。
税理士試験や公認会計士試験だと、複雑な計算が多く、また問題料も膨大になるため、電卓の使い方を知っているかどうかが結構点数に響いたりします。
電卓の使用はなにも資格受験生だけに限ったことではありませんから、ここで紹介する電卓操作は試験以外の普段のビジネスでも使えたりします。
電卓は大きく分けて「シャープ」と「カシオ」がある
電卓には、大きく分けると「シャープ」と「カシオ」の2社のメーカーがあります。
両者の電卓は、キーの配置と電卓操作にかなり違いがあるので、電卓操作を覚える前に、どちらのメーカーにするのかを決めたほうがいいでしょう。
ある程度慣れてから、もう一方のメーカーに変えるのはストレスになるというのもあります。
管理人の近所の家電量販店で電卓売り場を見た所、8割の電卓はカシオ製品で、1割がシャープ製品、残りがキャノンとか無名のメーカーでした。
カシオ製品であれば、種類が豊富にありそうです。
ただ、会計士や税理士の受験生は、シャープ製品を使っている人が多かったりします。
資格学校の売店には、シャープの電卓もカシオと同じくらい置いてあって、受験生の中には、シャープ製品を根強く支持している人がいるからです。
電卓によっては試験に適さないものがありますが、資格学校で電卓を購入すれば間違いありません。
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試験で使える電卓機能
管理人が普段使っている電卓がシャープ製品なので、ここからはシャープ製品の電卓で話を進めていきます。
小数点セレクターキーとラウンドセレクターキー
管理人の電卓には、「税込」というキーがあります。
事前に税率を設定しておいた場合に、「税込」キーを押せば税込みでいくらになるかを教えてくれます。
金額に税率をかければ税込みの数値は出ますから、このキーの重要性は低く、このキーがなくても全然問題ありません。
また、このキーがついてない電卓も多いです。
続いて赤枠左から2つめの「GT・」と書いてあるセレクターキーは、付いてない電卓もあるので説明を飛ばします。普段はGTにしておけば問題ありません。
赤枠、左から3つめが「小数点セレクターキー」です。
「F543210A」と表示されている部分です。右の「ラウンドセレクターキー」と合わせて使います。
小数点セレクターキーを1に合わせた場合は、小数点以下が続く計算結果でも小数点第1位まで表示されます。
Fに合わせておけば割り切れない数字が延々と表示されます。普段はFに合わせておきます。
Aは、ドルやセントの計算で使用します。55(セント)+50(セント)=と入力すると1.05と表示されます。自動で下から2桁に小数点が入ります。
一番右上にあるのが「ラウンドセレクターキー」です。
「⇧5/4⇩」と表示されているキーです。これは、小数点以下の処理をどうするかです。
⇧は切り上げ、5/4は四捨五入、⇩は切り下げです。
小数点セレクターキーと合わせて使います。
GT(グランドトータル)と√(ルート)CA(クリアオール)
続いて「GT」「+/-」「√」「→」「CA」のキーです。
赤枠一番左の「GT」がグランドトータルキーになります。
GT機能は、「=」を押すたびに答えが加算されていきます。
例えば、簿記の問題で1個300円の商品を8個仕入れ、また200円の商品を11個仕入れ、120円の商品を7個仕入れたときの合計はいくらになるか?といった問題が出たときに使います。
このような問題が出た場合は、一つ一つの答えをメモしておく必要はありません。
「300」「×」「8」「=」、「200」「×」「11」「=」、「120」「×」「7」「=」の後に「GT」キーを押せば、3つの計算の合計「5,440」が表示されます。
「=」キーを押すたびにその数値が加算された結果です。
「+/-」のキーを押すたびに、プラスの数値をマイナスに、マイナスの数値をプラスに変換できます。
「√」のキーを使うと、平方根を導けます。
FP技能士の1級試験では、株式のリスク(標準偏差)を求める計算などで使用します。
「→」は、入力ミスをした場合に使います。
例えば、「4321」と入力しなければいけないのに「4322」と入力した場合は「→」キーを押すことで1の位を修正できます。
「CA」キーは、全てをクリアできます。
電卓の情報がすべてクリアされます。
シャープの電卓だけの機能です。
カシオの場合は、メモリー情報についてはクリアできません。
メモリーキーの使い方
「CM」「RM」「M-」「M+」などのメモリーキーを使うことで、複雑な計算もかなり楽になります。
このメモリー機能を使えば、計算の途中で答えをメモする必要がなくなります。
「M+」キーを押すたびにメモリーで加算されます。
(200×11)+(345-111)+(111+222)=、という計算問題があったとします。
メモリー機能がない場合は、( )ごとに計算してメモしておかなければなりませんが、メモリー機能を使うことでメモが不要になります。
「200」「×」「11」「=」「M+」、「111」「+」「222」「=」「M+」、「111」「+」「222」「=」「M+」とそれぞれ計算した後に「RM」キーを押すと合計数値が表示されます。
「RM」キーは、メモリーされた情報を表示するキーです。
「M-」は、メモリーされた数値からマイナスするときに使用します。
(111×111)-(333-111)であれば、(111×111)を計算して「M+」キーでメモリーし、次に(333-111)を計算した後に「Mー」キーを押します。
そして最後に「RM」キーを押せば、12,099という数値が表示されます。
「CM」キーは、メモリー情報をクリアーするキーです。
メモリー機能を使う前は、必ず「CA」(シャープの電卓のみ)か「CM」で一度情報を消去します。
電卓によっては、「CM」と「RM」を一つのキーで兼ねていることもあります。
「C」は、GTメモリーとメモリー以外の数値が消去されます。
電源ONもこのボタンです。このキーも電卓によってあるものとないものがります。
%とCE(クリアキー)
全体を100とした場合に対する割合がいくらになるかを計算してくれるのが「%」キーです。
例えば、育児休業給付は50%の支給率ですが、賃金が9,000円の人はいくらもらえるか、という問題があったとします。
この場合は、「9,000」「×」「50」「%」と入力すると「4,500」が表示されます。
9,000円の50%は、4,500円になるということを計算してくれます。
「CE」キーは、クリアエントリーの略で、入力した数値をミスしたときに今の数値だけを消去できます。
例えば、222+111+333=と入力しようと思った場合に、本来333と入力するところを313と入力してしまったとします。
その場合は「CE」キーを押せば消去されるので、再び333から始めればいいことになります。
定数計算
決まった数に対して何度も足したり、引いたりする計算を定数計算といいます。
定数加算
定数加算は、同じ数値を何度も足す場合に便利な機能です。
「35+25=」とシャープの電卓を使って入力すると、「25」が定数となります。「〇+25=」の状態になります。
そこからさらに「10」「=」と入力すると35が表示されます。そのまま「15=」を入力すれば40が表示されます。
「35+25=」60 ここで「〇+25=」がインプットされます。
「10=」35
「15=」40
他にも「25+=」と入力しても定数加算の計算ができます。この場合も「25」が定数になります。「25+〇=」です。
同じように「10=」と入力すれば35が返ってきます。
カシオの電卓の場合は、+を2回押します。画面にKが表示されます。
「25++」で「25+○」が定数となります。
定数減算
定数減算は、同じ数値を何度も引くことです。
「35-25=」とシャープの電卓で入力すると、「ー25」が定数となります。
「50」「=」と入力すると、「50-25」の答え25が返ってきます。引き続き「60=」を入力すると35が表示されます。
「35-25=」10
「50=」25
「60=」35
また、「25」「ー」「=」と入力しても「ー25」が定数となります。
「25-=35=」10
「50=」25
「60=」35
カシオの電卓では、「25」に続けてマイナスを2回押すと画面に「K」が表示され定数減算ができます。
定数乗算
同じ数値をかける計算を定数乗算といいます。
定数乗算も簿記、FP技能士試験で役立つ機能です。資格試験では特に使う機能の一つです。
例えば、1個220円の商品を5個、8語、10個仕入れた場合の金額をそれぞれ計算する場合です。
「220」「×」「5」「=」と入力すると「220×」が定数となります。
「220×5=」1,100
「8=」1,760
「10=」2,200
「GT」5,060
GTと合わせて使えば、仕入れ合計額の計算に便利です。
カシオの電卓の場合は、「×」キーを2回続けて押せば定数乗算の計算ができます。
定数除算
定数除算は、いろいろな数値を同じ数値で割る(÷)という機能です。
「98」「÷」「14」「=」と入力した場合は、「÷14」が定数となります。
その後に「35=」を入力すると35÷14の答えである2.5が表示されます。
定数計算では、最も使う機会が少ない機能です。
カシオ電卓の場合は、14÷÷と入力してから計算します。
「14÷÷98=」7
「35=」2.5
累乗計算
同じ数を連続して掛け算するのが累乗計算です。
FP技能士の試験では、利回り〇%で運用したら10年後はいくらになるか?といった問題が出題されますが、こういった問題で累乗計算が役立ちます。
例えば、「利回り5%で運用していけば10年後はいくらになるか?」といった問題が出題されたとします。
この場合は、「1.05」「×」「=」「=」「=」「=」「=」「=」「=」「=」「=」1.62889・・・、利回り5%で運用していくと10年後には約1.629倍になります。
カシオの電卓の場合は、×を2回押します。
終わりに
電卓は身近なツールですが、機能についてまで知っている人はあまりいません。
2級や3級では、簿記検定もFP技能士試験もあまり複雑な計算問題は出ませんが、ここで紹介する電卓操作は覚えておいて損はないものです。
日常生活で電卓を使うことが多い人は、別に試験で役に立たなくても普段の仕事などで役に立ちます。
特にメモリー機能は、使いやすい機能だと思います。