マンションの管理に関わる国家資格にマンション管理士と管理業務主任者があります。
不動産業界でマンションというと、鉄骨や鉄筋コンクリートといった構造をもとに分けられるので、一人の大家さんが所有している鉄骨造りの建物もマンションになります。
しかし、マンション管理士や管理業務主任者でいうマンションは、分譲マンションや団地といった区分所有の建物です。
現在は10人に1人がマンションに住むといわれており、マンションの管理にマンション管理士や管理業務主任者が必要不可欠になっています。
マンションの中には老朽化したものも出てきており、管理のやり方次第でマンションの資産価値にも影響を与えることが考えられます。
マンション管理士と管理業務主任者は、どちらもマンション管理に関する資格ですが、役割が違います。
マンション管理士は、専門的知識を用いてマンション管理に関して相談を受け、アドバイスを行います。
管理業務主任者は、マンション管理の事務を行い、管理組合に対して管理の報告や説明を行います。
合格率は、マンション管理士が7~9%、管理業務主任者が20%程度と、難易度は管理業務主任者の方がやさしいので、まずは管理業務主任者の試験合格を目指すのがおすすめです。
管理業務主任者とは
マンション管理業者は、事務所ごとに国土交通省令で定める数(事務所ごとに30管理組合につき1人以上)の成年の専任の管理業務主任者を置かなければならないとされています。
管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格して国土交通大臣の登録を受け、管理業務主任者証の交付を受けている者をいいます。
管理業務主任者には、30管理組合に1人以上置かなければいけないという必置義務があるので、資格を保有していれば転職・就職に有利になります。
管理業務主任者試験とマンション管理士試験とは、どちらもマンション管理に関する出題がされ、試験範囲が重なる部分も多いことから、資格学校などでは同時受験をすすめていることも多いです。
管理業務主任者試験に合格した人が、マンション管理士試験を受験する場合(逆も)、マンション管理適正化の推進に関する法律5問が免除されるのもその表れです。
ちなみに、試験は一度合格すれば、一生有効です。
管理業務主任者として登録するには、試験に合格し、①2年以上の実務経験があるか、②実務講習を修了するかのどちらかに該当する必要があります。
管理業務主任者の主な業務
・委託契約に関する重要事項説明
・契約書や重要事項説明書への記名押印
・管理事務の報告
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管理業務主任者の試験概要
受験資格 | なし |
受験料 | 8,900円 |
申込受付 | 9月上旬~9月下旬 |
出題形式 | 四肢択一のマークシート方式で50問 |
試験時間 | 2時間 |
合格発表は例年1月中旬頃です。
マンション管理士試験の合格者は、マンション管理適正化法の5問免除を使えます。
管理業務主任者試験に合格した人も、マンション管理士試験のマンション管理適正化法が5問免除されます。
出題内容
管理業務主任者試験の出題範囲
1.管理事務の委託契約に関すること
民法、マンション標準管理委託契約書等
2.管理組合の会計の収入および支出の調定並びに出納に関すること
簿記、財務諸表論等
3.建物および付属設備の維持または修繕に関する企画または実施の調整に関すること
建築物の構造および概要、建築物に使用されている主な材料の概要、建築物の部位の名称等、建築設備の概要、建築物の維持保全に関する知識およびその関係法令、建築物の劣化、修繕工事の内容およびその実施の手続きに関する事項等
4.マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針等
5.1から4に掲げるもののほか、管理事務の実施に関すること
建物の区分所有等に関する法律等
2020年度の出題状況
民法その他の法令 10問
区分所有法等 8問
標準管理規約 4問
マンション管理適正化法 5問
管理実務 8問
会計 3問
建築・設備 6問
設備法令 6問
合計 50問
管理業務主任者試験の合格点・合格率
管理業務主任者試験の過去の結果
受験者 | 合格者 | 合格点 | 合格率 | |
2012年 | 19,460人 | 4,254人 | 37点 | 21.9% |
2013年 | 18,850人 | 4,241人 | 32点 | 22.5% |
2014年 | 17,443人 | 3,671人 | 35点 | 21.0% |
2015年 | 17,021人 | 4,053人 | 34点 | 23.8% |
2016年 | 16,952人 | 3,816人 | 35点 | 22.5% |
2017年 | 16,950人 | 3,679人 | 36点 | 21.7% |
2018年 | 16,249人 | 3,531人 | 33点 | 21.7% |
2019年 | 15,591人 | 3,617人 | 34点 | 23.2% |
2020年 | 15,667人 | 3,473人 | 37点 | 22.2% |
過去の試験では37点取れば合格できます。
民法と区分所有法は点が取りやすいので、得意科目にしたほうがよいでしょう。
過去問は満点取れるまで繰り返せば合格は近いです。
社会的ニーズの高まり
土地の少ない都心ではマンションに住むのは特別なことではありません。
大規模修繕や建て替えが必要な老朽化したマンションは200万戸を超えるといわれ、マンション管理の専門家が社会的に求められています。
マンション管理が適正に行われないために、大規模修繕や建て替えができないマンションが増えて問題となっています。今後は社会問題化する可能性は残念ながら高いです。
管理費・修繕積立金を滞納している場合の扱いはどうなるか、管理規約の変更はどのようにして決まるか、建て替えの決議に反対したらどうなるか、といった疑問に答えられる人はそう多くはありません。
管理業務主任者試験の勉強をすることで、こういった疑問の解答が分かるようになるので、業界を目指す人だけでなく、分譲マンションに住んでいる人の役にも立ちます。
管理業務主任者試験の合格後は、マンション管理士を取得して定年後の仕事にすることもできます。
より確実に合格を目指したい人は通信講座の利用がおすすめ!!
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